レ・ミゼラブル

パンを盗んだ罪で、19年も牢につながれ人らしくあることさえ忘れていたジャン・バルジャンの自由と贖いと救いの物語。また、彼を執拗に追う適役のジャベールの信仰にも似た正義感。若く美しい女性の、ちょっとした不運から始まる転落の人生。そして若者たちの革命運動。と、他にも見所はたくさん。

ジャベール警部はちょっと頭悪そうで残念な感じなのだけど、あらゆる罪はすべて厳しく追及する、それが自分の神から預かった役割である、そんな風に朗々と歌い上げるところでは、その迷いのなさに感動さえ覚えるのでした。

個人的にはアン・ハサウェイの歌声が心に響きました。特に彼女の最後の歌がすばらしい。それからエポニーヌの恋の切なさを歌うシーンもよかったです。結局、この物語は人生に、世の中に、恋に絶望する物語であって、絶望したひとたちが、それでも最後の力を振り絞って相手を思う心が、ラストを明るく照らしているのでしょう。そう思うと最後の民衆の歌は涙なしでは聴けません。

映画としては唐突に感じられるストーリー展開やアップの多様しすぎだろ(前の方で観たせいか、かなり圧迫感がありました)的な不満はあるのですが、音楽がほんとうに素晴らしく、観てよかったなと思える作品でした。

http://www.lesmiserables-movie.jp