パフューム

実は結構重厚さを期待していたのだけど、思ったよりポップだった。ゴミ溜めのような場所から華やかな香りの世界へ。汚いシーンはかなり迫力があったけれど、主人公の苦悩も香りの甘美さの演出もまだまだ足りないと思う。こちらは匂いを嗅ぐことはできないので、ラストのシーン、世界を制すという香り、どんだけ〜?なのかよくわからなかった。

体臭がない体質に産まれた主人公が、人間の香りに固執するのはもちろんよくわかる。でも彼の場合はむしろ憧れというよりは、自分の存在自体を産まれながらに否定されているような、この世のどことも繋がっていないような感覚だ。殺人、いや復讐の動機としては十分である。それにしても、なぜあの香りは主人公だけを幸せにしなかったのだろう?