ビッグ・フィッシュ

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ポスターがあまりにファンタジーなので二の足を踏んでいたのだけど、その想像以上にファンタジーだった(笑)。

ウィルは父親・エドワードのの荒唐無稽な話を聞いて育ち、成長してからはその話のほとんどが法螺話であることに気づいて、父親から遠ざかっていた。それが、エドワードの死期が近づいたことをきっかけに、ウィルは父親の話を検証することにする。

嘘だ、嘘じゃないのかも…と疑ってかかりつつも、エドワードの人生を確かめようとする行為自体にもう愛があって、怒っていても、ウィルは本当は父親のことが好きなのがよくわかる。あと欲しいのは、愛されていたという実感だけ。また、父・エドワードの方も、話すこと=愛情だったのだけど、うまく伝わっていないことに傷つくのだった。

どこか強情なふたりの間をとりもつそれぞれの妻が本当に素晴らしくて、彼女たちの愛なくしては、ふたりは永遠にすれ違ったままだったろう。

ティム・バートンのブラックな部分も好きなのだけど、ここまで優しくされるとノックダウンされてしまう。というくらい、優しい物語だ。唯一ブラックなのは、詩人がとある町を称えた詩の一節だろうか。うう、あれはわたしには怖い。

美しいシーンはいくつもあるのだけど、わたしが特に好きなのは、エドワードが一目惚れした女性に一面の水仙を送るシーン。彼はそこにたどり着くまでに涙ぐましい努力をして、彼女の好みをつきとめるのだけど、わたしは彼が偽情報をつかまされていると思っていたので、彼女が本当に水仙を好きで、本当によろこんでいたので、それがわたしもとても嬉しかった。それにわたしは花を贈る人が好き。

ヘンな人がたくさん出てくるが、でもやっぱりエドワードの妻を演じるジェシカ・ラングの愛の深さに惚れ惚れする。個人的に美味しい感じなのはウィルの妻を演じるマリオン・コティヤールで、リュック・ベッソンの「TAXI」の主人公の彼女役のあの可愛いひとだ。もう本当に可愛い。あとは大男を演じている人(本当の大男である)の存在が大きかった。彼がいて、ファンタジー部分が俄然活きたと思う。