エターナル・サンシャイン

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出演者にジム・キャリーケイト・ウィンスレットキルスティン・ダンストイライジャ・ウッド、監督に「ヒューマンネイチュア」のミシェル・ゴンドリー、脚本に「マルコヴィッチの穴」のチャーリー・カウフマン。名前を並べるとあまりの濃さにうえーとなりそうだが、気を抜くと(話もわからなくなるが)うっかり泣いてしまいそうなほど、美しく、そしてキュートな物語だ。

特定の人との記憶だけを消すことができるという会社があって、恋人が自分の記憶を消したことにショックを受けたjジョエルは、腹いせに自分のなかの彼女の記憶を消そうとする。ところが、いざ記憶が消え始めると、彼女をとても愛していたことに気づいて、彼は記憶の中の彼女と、思い出が消されない場所へと逃避行をはじめるのだった。そう、シンプルに考えると、これは愛の逃避行の物語ともいえる。

記憶のなかで、つかんでもつかんでも消えていく彼女。ところが、幻であるはずの彼女が、やがて記憶にないはずの言葉を喋りはじめ、周りを巻き込みながら、事態がどんどん混乱してくる。面子が濃いだけあって、さすがにありえない(笑)展開が続き、逃げ切れるのかハラハラしつつも、終わってみれば美しくて切ない印象を残す作品だった。根底に、とても真っ直ぐな純粋さがあるから。ジム・キャリーが泣きそうになりながら相手に気持ちを伝えようと、一生懸命喋っているのには胸を打たれた。

キルスティン・ダンストイライジャ・ウッドら脇役たちの物語もまた可笑しく切ない。大作とか芸術作品では全くないけれど、少し孤独で、少し思い込みが激しくて、不器用で。そして誰かを泣きたいくらい好きになったことのある人にはきっと合うと思う。綺麗なだけではなくて、ひどくカッコ悪いから気に入った。