クジラの島の少女

ニュージーランドの先住民マオリ族の少女の物語。長の家に生まれ素質を持ちながらも、女に生まれたことで伝統との狭間で苦悩する祖父・父・孫娘の三代の葛藤が描かれている。

ヒロイン役のケイシャ・キャッスル=ヒューズがとにかく素晴らしかった。彼女が歌い踊るだけで画面が引き締まる。彼女の存在がすべての説得力になっている。

伝統も少女の精神性も尊いものなのはよくわかった。けれど、彼女を取り巻く環境がすでに近代化しすぎていて、本当の苦悩は、本当は彼女が長になったあとに出てくるのではないかと思った。

物語は美しい。
これはたぶんマオリ族最後の伝説なるだろうと思うと、哀しい予感に満ちた作品だ。

クジラの島の少女 [DVD]

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