コラテラル

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タクシー運転手のマックスは、ひと晩で5箇所を回りたいという謎めいた男を乗せたことから、事件に巻き込まれていく。コラテラルとは”巻き添え”の意。

タクシー運転手役のジェイミー・フォックスがいい男っぷり。冒頭の短いシーンだけで彼の人となりが十分に伝わってきたのは見事な演出で、これが効いて最後の(帳尻合わせの)シーンになんとか気持ちが繋がった。”冷徹な殺し屋”という触れ込みのトム・クルーズの登場シーンもなかなか渋く、あわやトムの心境地か!?とびびったものの、その後は普段どおりのはしゃぎっぷりである意味期待を裏切らない作品ではあった。

物語の視点は完全にマックスからのもので、殺し屋ヴィンセントの心の内が徐々に明かされていく。マックスとの会話を通して浮かんでくるヴィンセントの姿は、愛されなかった子供が傲慢な大人に育ってしまったという典型的なバックグラウンドだった。ヴィンセントのキャラクタにもう少し説得力と深みがあれば、映画全体ももっと印象の深いものになっていたかもしれない。展開は面白かったけれど、ヴィンセントに対しては心は動かされなかった。

そもそも殺し屋ヴィンセントの仕事は最初の一件からすでに破綻しており、出会ったことで結果的に巻き添え気分を味わったのはむしろヴィンセントの方だろう。

ところで最後のシーン(あんなところに、くっついてる…!)ではトムのはしゃぎっぷりにホラーだホラーだとわたしも大はしゃぎ。なんかいつ見てもトムは楽しそうに見えるんだな。