潜水服は蝶の夢を見る

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ロックトイン症候群(脳は正常だが体の自由が利かない病気)にかかったジャン=ドミニック ボービー氏が、まばたきだけで綴った自伝小説の映像化。

彼が唯一自分の意思で動かせるのは左目だけだ。見えていた右目も、眼球を動かせないために早々にふさがれてしまう。左目は最後の光だ。彼の前向きな姿勢もさることながら、周囲の理解と忍耐強さにも敬服する。まめにやってくる妻や友人たちのエピソードも面白く、そして深い。彼を見ていると、何かを得て、何かを失って、また別のものを得て、そうやってひとつの人生を完成させた人のような気がする。もちろん神様のことはわたしもジャン=ドーもよくわからないが、劇中で彼はマリア像のことを思い出している。

わたしの中でのハイライトが2箇所あって、それは彼がおそらく一番会いたいはずの人で、結局会いに来ることのできなかった人たちのエピソードだった。

おそらくジャン=ドーの精神を受け継ぎ、五感で味わえるよう、スタイリッシュで鮮やかな映像になっている。この映像からわたしたちは彼の希望(忘れがちだが、それはわたしたち共通のものである)を感じることができる。

潜水服は蝶の夢を見る

潜水服は蝶の夢を見る