モーターサイクル・ダイアリーズ

チェ・ゲバラが学生時代に友人と、一台のバイクで南米を縦断した青春の日々を描いた物語。旅の初めの頃は普通のお坊ちゃんである。おそらく上流の、医者の息子に生まれ、何不自由なく暮らしていたが、この旅を通して、南米の現実を知り、彼は世界を変えたいという希望を持つようになる。映画は旅の終わりとともに幕を閉じるが、『チェ・28歳の革命』にそのまま時間軸が移るので、続けてみるとより解りやすい。監督や役者が変わっても、イメージがあまりぶれないのは、ゲバラ自身のイメージが確固としてあるのだろうか。両作品ともゲバラの人柄に焦点が当てられているので、わたしのように不勉強なものにとっても、面白く観ることができた。

この映画から受ける彼のイメージは、教養があり、理想が高く、それから何より人の話をよく聴く人だ。わけ隔てなく。そして正義感が強く、良い人である。彼の起こした革命は、すべて他者のためのものである。彼のその強い意志はどこから生まれたのだろうか。この映画からはあまり伝わってはこないのだが、ガエル・ガルシア・ベルナルが演じる普通の優しい男の子、というイメージのゲバラは、どことなく人を惹きつけるのである。