ランド・オブ・プレンティ

http://landofplenty.asmik-ace.co.jp/
911後を描いた作品。アメリカで暮らす叔父とパレスチナから亡き母の手紙をたずさえて、彼を訪ねてきた姪の邂逅の物語。アラブ人を監視する一見頭のおかしいような叔父は、アメリカの多くの人々が持っている疑心暗鬼、他者への恐れをユーモラスに体現しており、時間は911後を描きながら、彼がベトナムの傷を未だ引きずっているのが印象的だ。

大国の戦争は国家事業だが、傷は個人のものである。主演のミシェル・ウィリアムズが素晴らしく、もしこういう表情で、こういう言動をする女の子が実際にこの世に存在するのなら、そのことだけで大きな希望である。手紙が届けられたときに気付く。そんな彼女をはぐくんだのは周りの大人たちの深い愛情なのである。
監督はヴィム・ヴェンダース