ペネロピ

ご先祖様の呪いのせいで、豚の鼻と耳を持って産まれた女の子、ペネロピの物語。呪いを解くためには同じ仲間から永遠の愛を得なければならないらしい。母親は世間の好奇の目からペネロピを守るため、屋敷に閉じ込めて育て、今は彼女のお見合いに夢中だ。

ペネロピはいわば深窓の令嬢で、とっても浮世離れしている。高い教養を持ち、朗らかな性格で優しく可愛らしい女の子である。皮肉にも、彼女を化け物呼ばわりするのは、仲間(金持ち連中)だけなんである。スクープを狙う新聞記者レモンが、彼女の写真を初めて観た時に絶句するのだが、これが本当にいいシーンだ。そう、この時点でわたしたちはすでにペネロピの鼻がどうであろうと、彼女は普通の女の子であることを知っている。

ペネロピが恋に落ち、またペネロピに恋に落ちる青年は今売り出し中のジェームズ・マカヴォイ。彼がペネロピのプロポーズを断ったわけ、それから最後の呪いのオチなんかは、注意して観ていれば気付くところなのだけど、ほんとに魔法にかけられてしまっていたのか、まったく気付かずその分展開を楽しめた。

物語のテーマは簡潔だ。幸せになるにはまずありのままの自分を好きになること。終わってみると、母親の娘を醜いと思い、閉じ込め、偏愛するその態度こそが、最大の呪いであった。

物語のあちこちにツボがあって、書きつくせない。プロポーズする金持ちの青年の目のそらし方とか、刑務所でのレモンの態度とか、いろいろ面白すぎ。それにしても、この作品の最大の魔法は、豚鼻のクリスティーナ・リッチの方が、素の顔より可愛く見えてくることだろう。

ペネロピ [DVD]

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