死ぬまでにしたい10のこと

悪い映画では決してないのだが、困惑を覚えた。雰囲気もあるし、それほど間違ってもいないタイトル、CMだとも思うのだが、本編とのあいだにどこか違和感を感じた。調べてみると原題は『My Life Without Me』、作中に出てくる10のリストについても、『Things to do before I die』と書かれている。この小さな違いが最後まで後を引く。

サラ・ポーリーの好演、静かな演出により、画面からは何となくリアルな感情が流れてくるのだが、大人になった今ではこれはファンタジーだと心のどこかで思う。余命3ヶ月で新たな恋に落ちたり、夫や子どものために自分の代わりになれる女性を見つけたり、ましてや病気は隠しきれるものではないだろう。それにヒロインが出来すぎの女性なのである。父親は刑務所に入っており、母親はちょっとキレた感じ、主人公は、10代で子どもを産み、夫は失業中で、夜間に学校の清掃の仕事をしている。家は実家の庭にあるトレーラーハウスだ。どうやったらこんなに魅力的でいい子でいられるのか。むしろそちらのほうが気になってしまって仕方がなかった。

とはいえ、やっぱり悪い映画じゃないと思うのだ。多かれ少なかれ、わたしも似たようなリストを作るだろうから。My Life Without Me、自分のいない人生を想像する。もしかしたら、死を告知された瞬間に彼女の頭をよぎったただの空想かもしれない。そんな風に想像してみたりした。

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