チェ 39歳別れの手紙

前作はキューバ革命を成し遂げたところで終わっている。本作はその後、キューバを離れ、チェ自身の革命をなすために、単身ボリビアへ渡る。

キューバ革命のときとは違い、物語も思想も語る間もなく、追い立てられ、仲間を次々に殺され、ひたすら逃げ続ける。理解者はほとんどなく、村人たちはチェの演説を、外国語でも聞いているような顔でぽかんとしている。端々で少しずつ出てくる他者との温度差。それについてチェは考えない。弱いものへのいたわりの心を持ち、よく話を聞く青年だったチェ。けれど生真面目すぎるその生き方は、どこか硬直した印象もある。なぜ彼は暴力を捨てられなかったのか、革命とは何なのか、今であればテロリストと呼ばれたであろう存在、われわれの生活は何であろうか、まとまりのない思いが次々浮かび、無音のクレジットを見つめながら考える。

チェ ダブルパック (「28歳の革命」&「39歳別れの手紙」) [DVD]

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