ペルセポリス

一方で、このような作品も必要であろう。
70〜90年代のイランを舞台にした自伝的小説をアニメ化した作品。さらに安全な場所にいるわたしが言うのもなんだが、他の人々に比べ、どうみても主人公は恵まれた環境にいる。次々と投獄されたり亡くなったりする親戚や隣人たちを横目に、彼女はなぜ恵まれた環境を喜び、真剣に生きないのか、と思ってしまう。そしてその印象は、当然そのまま自分に還って来る。

ひとりの女の子が、普通に笑ったり好きな音楽を聴いたり恋をするのが難しいこと。戦争だけがその権利を奪うわけではなくて、それは日本の女の子にだって共通する部分はある。わたしが苛立ちを覚えた留学先でのシーンは、それはそのまま彼女の苛立ちでもあったのだろう。

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