シルヴィア
http://www.sylvia-movie.com/sylvia.html
若くして自殺してしまった女性詩人シルヴィア・プラスの半生を描いた物語。夫は同じく詩人のテッド・ヒューズ。簡単に言ってしまうと光太郎と千恵子のような話かも。夫婦関係を描いた作品とも言えなくもないが、わたしは”何故詩人は死んだのか?”というテーマの作品だと捉えている。シルヴィア・プラスはよく繊細なひとだと言われるのだが、この作品も、彼女が詩人である、という観点に立たないと、おそらくは成り立たない程の危ういバランスで作られた作品だと思う。実際のシルヴィア・プラスがどう人だったのか知るべくもないが、作り手の強い思い入れを感じる作品でもあった。
シルヴィアはすでに詩人として名を成していたテッド・ヒューズに惹かれ、彼を献身的に支えつつも、彼の浮気、仕事や子育ての忙しさで自分の執筆時間が取れないことへの苛立ち、自分の詩が世に認められないことへの焦りなどから自分を追い込んでいく。ヒューズが(さんざん浮気をするんだが)シルヴィアを愛していたことは疑いはしないけれど、二人の考える愛にはずいぶん隔たりがあって、シルヴィアの母親がいうように、彼の存在はシルヴィアにとっては結局は脅威だったのだと思う。ヒューズを捨てられなかったことは彼女の弱さかもしれないが、結局は全編を通して、シルヴィアの自分の才能への高い矜持を感じさせられた作品だった。パルトロウの朗読も素晴らしかったし、彼女がなぜ死んだのかとてもよくわかった。そしてまた、ソフィア・コッポラの「ヴァージン・スーサイズ」の消化不良もここにきてようやく解消(笑)。
ところでシルヴィアの母親役は、パルトロウの実の母親でもあって、迫力があって実に恐ろしかった。彼女の登場するひとつだけの場面では、シルヴィアの人生のすべてを語っているようで印象的である。シルヴィアの母親との関係もまた、見ていて胃が痛くなるようだった。
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