殺人の追憶

http://www.cqn.co.jp/mom/
韓国で実際に起きた未解決の連続殺人事件を題材にしている。都会からやってきた刑事と地元の刑事が対立しつつも共に事件を追う。わたしが見た韓国映画のなかでは最上の出来だと思う。サイトを見ていたら、なんかもういうことなし…という感じ。文句なしに監督の意図通りの作品だ。

事件となった農村には大きな工場のようなものがあって、大勢の”よそ者”が流入出している。工場の敷地に逃げ込んだ容疑者が、工員たちにまぎれてしまうシーンがあって、顔を見れば犯人がわかると豪語しているパクは容疑者を捕らえるのだが、結局は彼も釈放され、幾人もの容疑者を挙げつつも真相は闇に消え、だんだん自分が信じられなくなってくるのだった。とにかく顔、顔、顔である。映画のなかでも犯人は特定されないが、カメラのなかに犯人が映っているという錯覚に陥る。小さな村なので、刑事たちも当然、取り調べたうちの、あるいはすれ違った人間の誰かだという確信はあっただろう。

最後のシーンがこの事件そのものをうまく捉えていて、改めて戦慄するとともに、なんだか青春時代を振り返るような(?)奇妙な懐かしさもあって不思議な余韻が残る。うーん、傑作かも。ふたりの刑事の立ち位置が、いつのまにか反転しているのも見事だった。それにしても韓国人て飛び蹴りが好きだなあ。

殺人の追憶 [DVD]

殺人の追憶 [DVD]