2046
http://www.2046.jp/
「欲望の翼」「花様年華」と三部作になっていて、直接的な繋がりはないが、いくつかの基本情報がリンクしている。続けて見てみるとまた違った面白さがあるかもしれない。
「花様年華」で愛のすべてを封じるラストの清廉な美しさが未だに印象に残っているだけに、今回の「2046」は少し焼きまわしのような感じもする。また、「花様年華」との距離が近いために、そのシーンの続きとしてどうしても見てしまって、主人公チャウの中ではまったく昇華できていなかったのね、と思うとがっかりもするのだった。「花様年華」で見せた中身はどろどろながらも硬質さを保った愛の物語が、今回は本当にでろでろになっていて、男性には悪いけれども、ここまでぐだぐだになってしまうとチャウの魅力半減という感じだ。ボーイズ・ドント・クライ、気張れ!と思う(笑)。
物語は錯綜し、拡散している。重要なキャラクタだけでトニー・レオンのほかにコン・リー、ツィイー、カリーナ・ラウ、フェイ・ウォン、木村拓也と6人もいて、カーウァイにしては登場人物が多すぎるのではないかと思う。コン・リーとツィイー(美しいし、熱演してますが)はいらないような…。
わたしはカーウァイのニセモノっぽいそして安物っぽい(実際に本物なのかどうかはわたしにはわからないのだけどそう見える)愛を描いているところが好きなので、ほとんど意味のない(思いつき?)未来シーンなどを入れてしまう彼がやっぱり好きなのだけど、ツィイーがあまりに熱演していて、彼女の存在だけがあまりに現実に近づきすぎていて、つられて夢心地だったトニー・レオンがただの色ボケに見えて、それはカーウァイ特有の夢のような美しさを損なってしまったのではないかと。
―その不思議な未来(2046)では/ミステリートレインが動き出し/アンドロイドが恋におちる。
正確、とは言えないけれど、美しいコピーだ。2046年と過去を行き来する列車でのシーンが非常に美しくて、どうみても作り物ではあるのだけど、もっと長く見たかった。要は、2046で、カーウァイはわたしに、見たいものを見せてくれなかった、と思う。どうしてこういう物語にしてくれなかったのかな。でもまあ、好みの問題もあって、木村拓也とツィイーが出演していなかったら、あるいは惚れ込んだかもしれないとは思う。
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ウォン・カーウァイ スペシャルコレクション / 『2046』<=>『in the Mood for Love ~花様年華』 [DVD]
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