バグズ・ライフ

http://www.pixar.com/jp/feature/abl/
虫たちの世界を描いたピクサーの長編アニメーション。長いものに巻かれてやり過ごしてきた蟻たちが、発明好きの一匹の蟻のせいで（不本意にも）怖いバッタ集団と戦う羽目になるという話。バッタへの貢物を台無しにしてしまったフリックは持ち前の楽天的な性格で、サーカスの一団やら蟻仲間たちを巻き込んで周りから見れば本当に大迷惑な存在だ。フリックも基本的には及び腰で行き当たりばったりな、決して強くはない存在だが、そういう彼が他の蟻や虫たちを説得し、勇気を振りしぼって立ち向かって行く姿がすばらしい。

冷静に考えてみると、これは虫だらけの映画ということになるので、ふとした瞬間にちょっと微妙な気分になる。でも子供は大喜びでしょう。蟻だけでなく、助っ人として登場するサーカス一座も心は優しいが、自分たちが何かをなせるとは思っていなくて、誰かのためにがんばるということが、自分自身をも幸福にすることに気づいていくという、皆の成長物語にもなっている。コメディタッチで、教育的な厭らしさを過度に感じさせないのがピクサーの上手いところ。美形すぎて女に間違われてばかりの子供嫌いのてんとう虫が、蟻の子供たちにほだされて母親気分になってしまうというエピソードも心憎い。

ちいさな虫たちから見た世界の大きさは、躍動的な映像のおかげで十分に堪能した。特に雨のシーンは圧巻。カメラを引いたときの彼らの生活空間のあまりの小ささに驚いて、今まで虫眼鏡で彼らを覗いていたような気になって面白かった。

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