トゥー・ブラザーズ

カンボジア・アンコール。まだ先進国によって遺跡が好き勝手に持ち去られていたような時代が舞台らしい。人間によって離れ離れにされた虎の兄弟はまったく異なった環境で育ち、やがて闘技場で敵として再会する。

仔トラがとにかくかわいい、とそれにつきる。動物に罪はありません。人間が一番怖いです。ハイ。バカにしてるのかアノー。あるいはいいひとなのかもしれないが、こんなにストレートだとちょっとムッとする。カンボジアも、虎もとても綺麗なのだ。でも虎にあれだけの物語をつけてしまうことに抵抗はないのか。寓話的なファンタジーとしてなら話はわかるが、人と動物の関係を問うときには、この監督の姿勢こそがまず傲慢だ。監督のジャン=ジャック・アノーはどの映画も綺麗に作るのだが、どうもわたしにはしっくりこない。