パンズ・ラビリンス

http://www.panslabyrinth.jp/
ダークファンタジーという予備知識だけで鑑賞。恵比寿の映画館はなぜかいつも頭が痛くなります。。

素晴らしい作品でした。ファンタジーというジャンルの新たな面を見せられたような気がします。主人公の少女にとっては、もう逃避としての空想を通り越して、現実も別世界も一緒くたに丸飲みにされて、現実も空想も、どの世界も残酷で醜いのにいつのまにか美しい存在へと変えてしまう。一方おとぎ話を否定する対比としての母親が残酷なようでいて、大人だからこその弱さが身につまされる。

スペインの内戦の終結後(終結後というのがまた)、まだ混乱の中で大人たちは殺し合いを続けている。少女は別の世界を開くための鍵を探す。それは死んだ父親と死んでいく母親のための世界で…と考えると、やっぱり彼女が手に入れた鍵はそういう意味合いがあるんだろう。

そしてぶどうは食べられるためにそこにあるのだから、やはり食べなくてはいけなかっただろう。物語とはそういうものなのだから。

最初から最後まで悲惨で怖いことしか起こらないし、少女の空想する世界も迷宮への案内役の牧神パンも妖精さえもひどく醜い。…が、感情を最後まで表に出さない少女の小さな希望がはかなくて、なんとなく美しく凪いだ印象を残す作品でした。

※この映画には暴力シーンが含まれています(いやしかし、大人の方がダメージが大きいでしょうね)

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