崖の上のポニョ

手描きを生かしたダイナミックな映像に、これぞアニメーションの醍醐味と思う一方で、中身は劇中の大嵐のように破壊尽くされている。怖い。けど楽しい。ざわざわする。深く考えないようにしたい。これはアニメーションなのだから。。と、うっすらと危険を感じつつも、同時にもろもろの不謹慎さにわくわくもしたりする。

舞台はおそらく日本のどこかで、現代の話であると思っていいと思うのだが、ナウシカよりも現実から遠い。それが逆に凄みになっている。

押井監督のスカイクロラは逆向き、という感じがしている。中身は現実にかぎりなく近づいていく一方で、アニメーションというジャンルを破壊したいようなそんな衝動を感じる。枠組みを壊すことの不安感は、足もとを無理やり崩されるようで、不快感を伴う。

ポニョの方が面白かったけど、押井監督から与えられた不安感は不快なものとして、長く尾を引いている。

崖の上のポニョ 半魚人 S