ピアニスト
今年観た映画のなかでは、一番インパクトがあったかなあと思う。うわあ、これは男の子はちびっちゃうね!と思っていたら、ママもね!あ、女の子もね…(ヤッパリ)という感じで、可笑しく美しくグロテスクでなんとも怖い。いろんな要素がぎゅっと詰まっていて、笑っていいのか怯えていいのか、はたまた怒ればいいのか、途方にくれてしまう。映画なんでもOK!という人以外は観ない方がいいと思う。…嘔吐したくなる(これは例えですけど)。
中年のピアニスト教師が誰にも負けない、というシューベルト。今年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャパンで勉強したばかり。ショパンでもモーツアルトでもリストでも駄目。主人公の言うとおり、やはりシューベルトなんでしょう、と思う。美しく深い旋律の底に流れている孤独と欲望。前半は映像美と美しい音楽が堪能できるが、怒涛の後半が非常に醜悪で、文字で書き出してみると、(世の中ではもっと凄惨な事件が起きているという意味では)たいしたことはないかもしれないのだが、強いうねりに巻き込まれた。実際何もなかったことにだってできるし、彼らは実際そのように振舞うだろう…。それが一番怖い気がした。
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