ブーリン家の姉妹
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これは面白かった。歴史大作とも違うし、「エリザベス」や「マリー・アントワネット」のようなものともどこか違って、史実の隙間を上手くついた作品だった。ヘンリー8世に寵愛されたブーリン家の姉妹の確執と愛の物語である。
16世紀イングランド、ヘンリー8世はスペインから来た妻キャサリン・オブ・アラゴンとの結婚を無効とし、アン・ブーリンと結婚するため、ヴァチカンと決別し(英国宗教改革)、イングランドを不安定な時代へと追い込んでいく。映画を観ている感じでは、この頃法の力が強くなって、論理的な筋道さえ立てられたなら、それで押し通してしまえ!という雰囲気がある。結果、それらのひずみがエリザベスの時代のスペインとの戦争に発展してしまうのだろうが、この感じは今でもなんとなくわかる。
ヘンリー8世は青髭のモデルとも言われ、生涯に6人の妻を娶っている。アンを初め、その何人かは処刑されている。アンの産んだただ一人の子どもがエリザベス1世である。
映画のなかで、人々はそれぞれの思惑で動いているが、ほとんど歴史的な説明のない画面からでも、激動の時代の空気がそこはかとなく伝わってくる。今回ほとんど史上初めてスポットライトが当てられたメアリーは、激しい姉とは対極をなし、心優しい普通の女性として描かれており、観客の目線とうまく重なっている。歴史物の重厚さはないが、あっというまに転落していくアンをナタリー・ポートマンや、彼女を取り巻く女優たちが好演しており、その痛々しさが胸をつく。
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